基礎研究からの展開

基礎研究からの展開

当社代表の広津崇亮は東京大学大学院在学中に、線虫(C. elegans)の嗅覚においてRas-MAPK 経路が関与することを世界で初めて明らかにし(Nature 2000)、その可視化に成功しました(Scientific Reports 2012)。またその後、線虫の嗅覚で行われる複数の受容体による揮発成分のパターン認識についてRNAi を用いて解析(Science Signaling 2014)。さらに、線虫の匂いに対する嗜好性が生み出され変化する仕組みについて明らかにしました(Science 2010、Nature Neuroscience2009、Nature Communications 2012)。

これらを背景に、がんには特有の匂いがあること、線虫は嗅覚が優れていることに着想を得て研究を進め、線虫が嗅覚を用いて健常者とがん患者の尿を嗅ぎ分け、がん患者の尿にのみ誘因される特性を活用した新たながん検査法(N-NOSE)を発明しました。
(PCT 特許出願中、PLoS One 2015;図1)

既存の腫瘍マーカーのがん検知感度と、N-NOSE 検査の感度を比較したところ、N-NOSE は、高水準でがんを検知できることが確認されました(表1)。ステージ0や1 の早期がんでも約90%の精度を誇るため、がんの早期発見にも役立てられる可能性があります。

この技術をもとに、当社はまず南風病院(鹿児島県)との臨床研究を開始し、がんと診断された63 人の尿検体について、N-NOSE での評価を実施しました。その結果、N-NOSE は感度90.5%を示しました(表2)。

N-NOSEは、同じ患者に対して行われた腫瘍マーカー検査(CEA:20.6%, CA19-9:28.6%)と比べて感度が圧倒的に高く、また従来の検査では発見が難しい胆膵がん・胆道がんにおいても、N-NOSE では90.0%の高感度を示しその有効性が示されています。