本論文は線虫がん検査N-NOSEが、ヒト以外の生物に対しても適用できる可能性を示した最初の報告です。今回、我々はすい臓がんのモデルマウス(遺伝子操作ですい臓がんになり易くしたマウス)の尿に対して線虫の走性行動試験を行いました。その結果、線虫は正常(対照)マウスの尿に対しては忌避行動を、すい臓がんモデルマウスの尿には誘引行動を示しました。この有意な走性行動の差は、線虫はヒトだけでなくマウスのガンの匂いもかぎ分けられることを示唆しています。
また、本論文で用いたすい臓がんモデルマウスはKrasG12Dという変異が導入されています。この変異は著名ながん遺伝子変異の1つであり、臨床的にもヒトのすい臓がんで高頻度に発見されています。このことから、すい臓がんモデルマウスの解析により、N-NOSEがヒトの膵臓がんを識別するメカニズムの解明につながる可能性があります。
【本論文の科学的意義】
・N-NOSEがヒト以外の生物でも応用できる可能性
・すい臓がんモデルマウスの解析(特に微小ながんの検出)にN-NOSEを適用できる
・すい臓がんモデルマウスの解析により、N-NOSEがヒトの膵臓がんを識別するメカニズムの解明につながる
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