八角信芳×広津崇亮

「誰かの力に」その想いが原動力

〜挑み続けた10年、それぞれの想い〜

〈 後 編 〉

発明から10年 理事長も就任10年

広津代表私たちは発明から10年を迎えました。八角理事長も職を引き受けられて10年目だと思います。この10年振り返ると苦しい時期もあったのではないですか?

八角理事長ありました。やはりコロナの時期が一番大変でした。場所の中止、無観客開催、力士たちの行動制限、PCR検査の徹底と、本当に大変でした。それでも先輩たちが残してくれた大相撲という伝統があったからこそ、苦しい時期を乗り越えられたと思っています。私たちも、後輩たちに残すべきものをしっかりと残していくということが、何よりも大事だと思っています。それが伝統をつないでいく上での、使命であり最も大切なところです。

広津代表厳しい時期に支えになったのは、伝統をつないでいくという思いだったのですね。

八角理事長自分は主役じゃないんですよね。これから後輩たちが主役になっていくために、苦労させないために、今自分たちができることを人生を賭けてやっています。おそらく先輩たちもそう思っていたんじゃないかなと思います。もし、これまでに自分たちだけ良ければいいという思いがあったとしたら、相撲協会は100年もの間続いてこなかったと思いますし、どこかで終わっていたと思います。やはり後に続く人たち、後輩たちのことを考えながら日々やっていくことが大事なんです。

広津代表科学も一緒かもしれませんね。やはり売ろうという気持ちが先に出てしまうと広がらないし、いいものはできません。やはり科学者は世の中の人たちを救おうというような思想が最初にあるんですが、お金儲けばかりを考えていたら続かなくなると思います。

八角理事長そうですよね。人を助けるんだという気持ちがないとですね、そういう志が高くないといけないと思いますね。

広津代表そうです。続かないですし、いいものはできないと思います。原点と言えるかもしれませんが、理事長は相撲という伝統文化を次につなげる、私たちは健康という人にとって大切なものを次につなげる、つないでいく継承していくという意味では共通だと思いました。

八角理事長やはり志を高く持つことが大事だと思います。相撲というのは、ただ相撲を取るスポーツだけではなくて、神事が元で横綱の土俵入りの一つ一つの所作に意味があるんです。たとえば武器を持たない、正々堂々と戦うという意味で塵手水(ちりちょうず)を切ります。ひとつひとつ意味のある所作を通していくというのが大事だと思います。ただ相撲が強いというだけではいけません。また、被災地などに慰問に行って土俵入りを披露することがありますが、おじいちゃんおばあちゃんが私たちに手を合わせてくれるんです。そういう気持ちになるというのは、何百年も続いているという意味でもあり、単なるスポーツではないという所以だと思います。だからこそ後生に残さなければならない。日本のためにです。

広津代表がん検査も共通するところがあると思いますね。ただの売り物ではない。面白いものを売っているとか、美味しいものを売っているとかではない。やはり経営者といえどもただ売ればいいとか、売り上げを上げればいいとかではなく、一人でも多くの人たちの健康を守りたいという原点を大切にしていないと間違えてしまうと思います。今、発明から10年で社内だけではなくて、外に対して「発明10年」といって売っているのは、そういう思いがあります。原点に帰るというのは、なぜこういうものを作ろうと思ったのかとか、世の中をどうしようと思ったのかという思いを持ち続けるということです。決して忘れないで欲しいと社員たちにも伝えています。

八角理事長今だけが、自分だけがよければいいという話ではないですからね。そういうことですよね。それは一緒だと思いますよね。

広津代表相撲協会のように100年会社を続けるというのは大変ですけれども。

広津崇亮

必要な変化 本物だからこそ海外にも

八角理事長国技館にいらしてみてください。若い親方たちが頑張っていて、昔とは変わったところがいくつもありますよ。

広津代表それはファンのことを意識してということですか?

八角理事長はい。国技館に入って扉を開けて土俵が見える場所では、江戸時代と一緒です。呼び出しさんの木の音ひとつで物事がはじまり、床山さんが結った大銀杏で力士が土俵に上がって、装束を着た行司さんが勝負を裁く、まったく昔と一緒です。でも土俵の外と言いますか、扉から出ると館内ではガチャガチャのコーナーがあったり、いろいろなグッズが並んだお土産屋さんもあったりします。横綱・大関などの力士をイメージした弁当もあります。相撲は朝から夕方まで8時間くらいやっていますから、一日を楽しんでもらえるような取り組みを進めています。

広津代表何かきっかけなどはあったんですか?

八角理事長実は数年前にアメリカに行きまして、国技ともいわれる大リーグを視察しました。その時に、球場のなかが本当に楽しかったんです。フィールドの中では真剣勝負が繰り広げられますが、周りにはたくさんのお店があって、グッズショップがあって、レジェンドをたたえる博物館のようなスペースもあって、子供たちが楽しんでいる場所もある。そういうところは改革できるところだなと思ったんですね。アメリカのボールパークのような、国技館パークのようなイメージですね。

広津代表そういうお話を聞くと、だいぶイメージが変わりますね。

八角理事長若い親方たちもいろいろグッズを売ったりしてくれています。協会としてどうやって収入を得ていくのかという部分では、勉強しなければいけませんからね。一方で、親方衆には勘違いをしないようにとも言っています。あなたたちは若い力士をスカウトして強い相撲取りを育てるのが仕事ですよと。力士を育てるのは100人の親方しかできないことですからね。自分の立場を考えて仕事をしっかりするようにと、それは間違いないようにと言っています。

広津代表私も原点はいつも心に留めていますが、とはいえベンチャー企業ですので、同じことをずっとやっていけばいいわけではないわけです。サービスは出しただけでなく、進化していかなければいけません。研究開発にもすごく力を入れてやっています。これからもどんどん、発展していく余地はありますし、先ほどお伝えしたすい臓がん検査のような、特定のがんの検査を、今はすい臓がんと肝臓がんしかないですが、その種類を全部に広げることができればと思っています。尿を採取するだけで、何がんのリスクがあるのかがわかるという世界を作り上げたいと思っています。また、海外に向けても、発信していかないと広げていかないと、そういった意味では、こうした話はすごく勉強になります。原点を守りつつも改革すべきはやって、両方大事にするということですよね。

八角理事長相撲協会も今年10月にはロンドン公演を行いました。来年はフランスでの公演も予定していますから、世界中の人に知ってもらうのも大事なことです。

広津代表海外の観客も増えているんですか?

八角理事長増えています。2階席は半分とは言いませんが、3分の1くらいは外国の人がいる印象です。各部屋の稽古場でも、毎日のように外国の方々が見に来ます。これは各部屋の対応となりますが。

広津代表海外の人は日本独特の文化を見たいのですね。

八角理事長ひとつの防具もつけず、生身の体と体がぶつかるというのに感動するんだと思います。

広津代表ガツンとぶつかる迫力はすごいです。迫力がある相撲が取れるのも、鍛錬があってこそ。そこに感動があるわけですね。

八角理事長その通りです。やはり鍛錬がないとだめです。稽古です。相撲部屋は鍛錬する場所ですから、外国から来られた方も、そこを見て、日本独特の本物を見て感動していただけるのではないかと思います。

広津代表私たちも思いを同じくするところがあります。線虫による尿検査でがんのリスクを判定するというようなコンセプトは海外にはありません。海外の人に話しても何だとそれはとなります。生物を使うなんて思いもしなかったと。ただ説明すると、そういう仕組みなのだなと理解していただけます。がんに悩んでいるのは日本人だけではないです。早く海外の人にも知ってほしいと思っています。日本にこんな技術があるのだというのをもっと伝えていかなければいけません。

八角理事長日本は長寿の国ですよね。そこにこんな技術が加わって、長寿がさらに進むというのを海外に知ってほしいですね。

広津代表がんを克服できればさらに寿命が延びますし、早期発見できることで、病院で長生きするというのではなくて健康で長生きできる。その可能性が高くなるわけです。

八角理事長それが一番ですよね。健康で長生きするというのが。

八角信芳

100年という伝統を持つ相撲協会からのアドバイス

100年という伝統を持つ
相撲協会からのアドバイス

八角理事長先ほども言っていたとおり、志を高く持って、頑張るのだという気持ちが大事だと思います。商売に走らず、志を高く持ってがんで亡くなる人をなくすのだという気持ちで頑張ってほしいです。

広津代表そう言っていただいてうれしいです。世の中の人たちに長生きしてほしいという思いで作った会社ですので、改めてその原点に立ち返りたい。代表になるとどうしても目の前の数字を追ってしまう部分もありますが、やはりどういう想いで会社を作ったのか、その原点を見つめ直して、これからも進んでいきたいと思います。

八角理事長今後もオフィシャルパートナーとして日本相撲協会をどうぞよろしくお願いいたします。

広津代表こちらこそ、ぜひよろしくお願いいたします。(固い握手)

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