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子宮頸がんの前がん病変である上皮内異形成の検出に対するN-NOSEの有効性を実証した原著論文が国際科学誌に掲載

2025.05.07

この度、2025年4月30日付で国際学術誌Journal of Clinical and Translational Researchに子宮頸部上皮内異形成の検出に対するN-NOSEの有効性を実証した原著論文を発表しました。

子宮頸がんは世界的にも罹患率と死亡率の高いがんであり、WHO(世界保健機関)によると、2022年時点では新たに約66万人が発症、約35万人が死亡(そのうち94%は低・中所得国で発生)と推定されています。子宮頸がん発症の主な原因は高リスク型のヒトパピローマウイルスの感染であり、多くの場合、ウイルスの持続感染によって子宮頸部の上皮内異形成を引き起こし、がん化が進行します。したがって、子宮頸部でのがん化を早期に発見することは、予後を改善するうえで極めて重要な課題といえます。そこで、早期子宮頸がんスクリーニングにおけるN-NOSEの有用性を検証しました。

本研究は「前向き臨床研究」としてデザインされ、国立病院機構のがんセンターでの倫理委員会の承認を受けた後、2017年5月から2021年3月までの間に、病理組織学的に浸潤性子宮頸がんを認めた患者74人と子宮頸部上皮内異形成患者245人から尿サンプルを採取し、N-NOSEの性能を評価しました。N-NOSEの感度は、浸潤性子宮頸がんで71.6%(53/74)、子宮頸部上皮内異形成で73.5%(180/245)であり、驚くべきことに、高度異形成の患者9人全員がN-NOSE陽性(感度100%)でした。これらの結果は、N-NOSEが発がんの初期(前がん病変)段階であっても効率的に検出でき、その後の早期治療介入によって浸潤性子宮頸がんの発生率を劇的に減少させる可能性があることを示唆しています。

当社の線虫がん検査「N-NOSE」は2020年1月に実用化されており、現在までに80万人以上の方々にご利用いただいています。線虫を使ったがん匂い検知法は、米国やイタリアの著名な研究機関でもすでに再現されており、最近ではスロバキアの研究機関の成果が学術論文として報告されています。当社は、がんスクリーニング検査の仕組みを広く浸透させていくことで、がんに対する皆様の意識を高め、がんを早期発見できる社会づくりの実現に貢献することを目指しています。

【論文題目】

Non-invasive early detection of cervical carcinogenesis through the olfactory response of Caenorhabditis elegans

【論文著者】

Hideyuki Hatakeyama, Aya Hasan Alshammari, Masayo Morishita, Umbhorn Ungkulpasvich, Junichi Yamaguchi, Takaaki Hirotsu, and Eric di Luccio*

【掲載雑誌】

Journal of Clinical and Translational Research

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