血液がん検出に対するN-NOSEの有効性を実証した原著論文が、2025年3月29日付で、国際学術誌Hematological Oncologyに掲載されました。本論文は、徳島大学大学院医歯薬学研究部の 中村信元 特任教授との共同臨床研究の成果になります。
胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がん、前立腺がんのような悪性固形がんと比較して、主要な血液がんの新規患者数および死亡率は低く、白血病(罹患率11.3例/10万人、死亡率8.1人/10万人)、多発性骨髄腫(罹患率5.8例/10万人、死亡率3.5人/10万人)、悪性リンパ腫(罹患率28.5例/10万人、死亡率11.7人/10万人)とされています(国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス「がん種別統計情報」より参照)。血液がんの診断には、通常の血液検査に加えて、侵襲性の高い骨髄への針生検も行われることが多いため、より低侵襲で精度の高い検査法が求められています。
本臨床研究では、血液がん患者89名および健常者30名を対象として尿サンプルを採取し、未治療時および治療前後におけるN-NOSEの性能を評価しました。血液がん検出における最適カットオフ値に設定した場合、N-NOSEは血液がん患者に対して高い陽性率を示しました(白血病と多発性骨髄腫は90%以上、悪性リンパ腫は80%前後)。なおN-NOSE陰性と判定された悪性リンパ腫患者の中には、以前にステロイド投与や血液透析などを受けていた患者が含まれており、その影響を反映していたことも判明しました。N-NOSEの結果は、「がんの有無」のみと有意な相関関係を示す一方、各種併存疾患・腎機能・肝機能・尿一般定性との相関は認めませんでした。さらに重要なポイントとして、化学療法後に効果が得られた32人の患者の大部分において、治療後のN-NOSEの結果は、患者の奏効状態を反映して低下していました。これらの結果は、N-NOSEが「血液がんの初期検出および治療効果のモニタリング」に対して非侵襲的かつ高精度な検査法となり得る可能性を示しています。
当社の線虫がん検査「N-NOSE」は2020年1月に実用化されており、現在までに80万人以上の方々にご利用いただいています。線虫を使ったがん匂い検知法は、米国やイタリアの著名な研究機関でもすでに再現されており、最近ではスロバキアの研究機関の成果が学術論文として報告されています。当社は、がんスクリーニング検査の仕組みを広く浸透させていくことで、がんに対する皆様の意識を高め、がんを早期発見できる社会づくりの実現に貢献していきます。
Detection of Hematological Malignancies Using N-NOSE (Nematode-NOSE)
Shingen Nakamura*, Hideyuki Hatakeyama, Sumiko Yoshida, Umbhorn Ungkulpasvich, Takaaki Hirotsu, Eric di Luccio, and Masahiro Abe
Hematological Oncology
当社は今後もがんを早期発見できる世界を目指し、引き続き研究開発に注力するとともに、お客さまや医療関係者の皆さまをはじめとする全てのステークホルダーに対して継続的な情報発信を行ってまいります。
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