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尿中に含まれる「におい物質」を用いたがん検出法に関する総説が、国際科学誌に掲載

2025.01.15

2025年1月6日付で国際学術誌Biomedicinesに学術総説”Non-Invasive Detection of Tumors by Volatile Organic Compounds in Urine”(尿中の揮発性有機化合物による腫瘍の非侵襲的検出法)が発表されました。

本総説は、大阪大学大学院医学系研究科共同研究講座 疾患データサイエンス学の石井秀始教授やイタリアのSapienza University of RomeのAndrea Vecchione教授らとの共同執筆によるものです。

がんは主要な死因の一つであり、生存率を向上させるためには早期発見が重要です。現在は血液バイオマーカーによる検査が用いられていますが、より精度の高い診断を可能にする新たなバイオマーカーの同定や診断法の構築が早期がんの発見に必要です。これまでの数多くの研究によって、尿中には様々な揮発性有機化合物(以下、VOC)が含まれており、がん患者に特異的なVOCが存在することも明らかになっています。本総説では、尿中のVOCの分析と生物の嗅覚受容体を利用した新たな診断法の開発について焦点を当てて記述されています。

本総説では、要点として「がん探知犬や線虫などの優れた嗅覚を持つ生物を用いたVOC検出法の大きな利点は、嗅覚受容体が尿中のVOCを総合的に感知し、がん特有のにおいを識別できるという点にあります。生物を用いた検査の精度をさらに向上させ、より正確にがん種を判定できるようにしていくには、どのような物質がどのような嗅覚受容体に反応するのか、という詳細なメカニズムの解明が今後必要となるでしょう。新たなバイオマーカーとして、がん特有のVOCを同定することにより、がんの早期発見がますます容易になることが期待されます。」と述べられています。

当社は、すい臓がん、肝臓がんのにおいに反応する嗅覚受容体を同定することで、がん種の特定を可能にした新技術「N-NOSE plus」をすでに実用化しています。線虫がん検査「N-NOSE」は2020年1月に実用化されており、現在までに70万人以上の方々にご利用いただいています。線虫を使ったがんのにおい検知法は、米国やイタリアの著名な研究機関でもすでに再現されており、最近ではスロバキアの研究機関の成果が学術論文として報告されています(当社News:「スロバキア研究チームが、N-NOSEのがん早期発見ツールとしての有望性を支持する新しい臨床研究論文を発表」 リンク)。

当社は、がんスクリーニング検査の仕組みを広く浸透させていくことで、がんに対する皆様の意識を高め、がんを早期発見できる社会づくりの実現に貢献することを目指しています。

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