KEY TECHNOLOGY
技術のカギ

技術のカギは「線虫」
地球上でもっとも繁栄している生物

N-NOSE では線虫という生物の特性を利用して診断を行います。線虫は線形動物門に属する動物の総称で、土壌や海洋中、または生物の中など、さまざまな環境で暮らしています。その種類はある試算によると1 億種類ともいわれ、500 万~1000万種と推定されている昆虫を大きく上回り、地球上の生物の中で最も種類の多い生物と考えられています。
その中でN-NOSE で使用されるのはC. elegans という種類です。

C. elegansの特徴

  • 体長は約1mmで色は透明
  • 脳、神経、消化器官から生殖器まで持っている
  • エサは大腸菌でエサ代が非常に安価
  • 雌雄同体のため容易に同じ遺伝子を持った個体を増やせる
  • すべての細胞を生きたまま顕微鏡で観察できる

線虫ってどんな生き物?
魚住隆行 (HIROTSU BIO SCIENCE 研究開発リーダー)

弊社が研究を進めているがん検査システムN-NOSEでは、生物の嗅覚を高感度センサーと
して応用しています。その生物とは線虫C. elegansです。あまり馴染みのない生き物かもし
れません。線虫C. elegansとはどのような生き物なのでしょうか?
線虫とは線形動物(細長い糸状のひょろひょろした動物)の総称で、カイチュウやマツノザイ
センチュウ、ダイズシストセンチュウなど多くの種類があります。我々が研究に用いてい
る線虫はCaenorhabditis elengas(カエノラブディティスエレガンス;通称C. elegans)と呼ばれ
る種で、モデル生物として生命現象の研究に広く使われています。体長は1mm程度で透明
な体をもっており、自然界では土壌中に生息しています。目や耳といった構造がないため
匂いを頼りに生活しており、嗅覚が非常に発達していることが知られています。

線虫(C. elegans)は雌雄同体であるため、単体で繁殖することができます。一つの個体で卵細胞と精細胞を作り、子孫を残すことができるのです。1匹の線虫が産む卵は約300個にもなり、繁殖が容易なことも特徴のひとつです。

すくすく育つ線虫

線虫C. elegansの卵は孵化後、幼虫(L1~L4というステージがあります)が4回の脱皮を繰り返して成虫へと育ちます。成長速度は環境の温度に左右され、卵から成虫になるまでに16℃では約8日間、20℃では約3.5日という早さで成長します。線虫は4日そこそこで一人前になるのです。

このような特徴からC. elegansは生物学の世界ではモデル生物として研究対象となってきました。
モデル生物とは、生物学で重点的に研究される対象として選ばれた生物です。
とても多くの種類が存在する生物を生物学者がすべて研究することは困難です。
そこでいくつかの生物をモデル生物として研究することで普遍的な生命現象を解明する研究をしています。
その中で代表的な種がC. elegansで、その繁殖、飼育の容易さや多細胞生物であるのに観察が容易であることなどから広く研究されてきました。
それらの研究の結果、初めてすべてのゲノムが解明された生物でもあり、線虫を使った生物学の研究成果が3度もノーベル賞の受賞テーマになっています。